2026年のプロ野球も、10月28日の日本シリーズ第4戦で最後の試合となり、ソフトバンクが日本一に輝きました。 毎日が手に汗握る接戦でしたが、勝負どころでホームを踏んだのが途中から代走で出てきた選手たちでした。
個人的には、このシリーズは「代走のシリーズ」だったのではないかな、と思うほどでした。 今回は、ここ一番で効いた小久保監督の「代走」の采配を、レギュラーシーズンまでさかのぼってみました。
シリーズの3試合、点を取ったのは代走から出た選手
第1戦(10/24・横浜、3-1、延長11回) 1-1の11回、先頭の柳田選手が二塁打で出ると、代走に川村友斗選手が送られました。その川村選手が、庄子雄大選手の二塁打で勝ち越しのホームを踏みます。この回はもう1人、代走で出た緒方理貢選手も還って3-1。2点とも、代走から出た選手の得点でした。
第2戦(10/25・横浜、4-3、延長10回) 決めたのは、また川村選手です。この日も代走から出て、そのまま右翼の守りに残りました。3-3の10回1死、回ってきた打席で中越えの決勝本塁打を打ちます。代走で出た選手が、今度はバットで試合を決めました。
第3戦(10/27・福岡、2-1、延長10回) 0-1のまま迎えた9回、栗原選手の二塁打で出た走者に、2死となってから代走のイヒネ選手が送られます。そこで牧原選手の右前打が出て、イヒネ選手が同点のホームを踏みました。そこから、10回の正木選手のサヨナラ本塁打につながります。
第4戦は両チームとも代走を使わないまま、4-2で決まりました。それでも4試合のうち3試合で、代走から出た選手が勝ち越しや同点の点に絡んでいたことになります。
レギュラーシーズンでも、代走で出た選手の得点は12球団最多
では、シーズン中はどうだったのか。代走で出た選手が、その試合で挙げた得点を球団ごとに数えてみました。
| 球団 | 代走での出場 | その試合での得点 | 1回あたり |
|---|---|---|---|
| ソフトバンク | 115 | 45 | .391 |
| 広島 | 119 | 38 | .319 |
| ヤクルト | 102 | 32 | .314 |
| 巨人 | 91 | 32 | .352 |
| 楽天 | 90 | 28 | .311 |
| 中日 | 81 | 27 | .333 |
| 西武 | 72 | 26 | .361 |
| DeNA | 89 | 25 | .281 |
| 日本ハム | 97 | 23 | .237 |
| 阪神 | 65 | 22 | .338 |
| オリックス | 75 | 21 | .280 |
| ロッテ | 65 | 13 | .200 |
ソフトバンクは45点で12球団最多でした。代走での出場は115回で、広島(119回)より少し少ないのに、得点は7点多い。1回あたりの.391も12球団で一番です。小久保監督の「代走」の采配の〝きらめき〟は、今シリーズに限ったものではなかったのです。
数え方には注意が要ります。ここでの得点は、代走で出た選手が「その試合で」挙げた得点の合計です。代走のまま還った点と、第2戦の川村選手のように打順に残って打ってから還った点の両方が入っています。まごのてデータの記録ではこの2つを分けられないので、まとめて数えました。参考までに、打席に立たないまま終わった試合だけに絞ると、ソフトバンクは23点で、広島(25点)に次ぐ2位でした。
選手別に見ると、一番は川村選手で38回出て13点。続いて庄子選手が18回で8点、野村勇選手が13回で6点、緒方選手が8回で6点でした。シリーズで点を取った川村選手と緒方選手は、シーズン中から「代走で出て還ってくる」選手だったわけです。
走って稼ぐより、還ってくる代走
一つ意外にも思えるのは、代走の盗塁の少なさです。打席に立たずに終わった代走の試合に限ると、ソフトバンクの盗塁は8個(盗塁死2)で、12球団で6位タイでした。広島の25個とは大きな差があります。その広島の代走を引っ張ったのが、辰見鴻之介選手です。代走のあと打席に立った試合も含めると、代走で塁にいる間に決めた盗塁はシーズン27個。9月15日のヤクルト戦では26個目を決め、代走での盗塁の日本記録を塗り替えました。得点でも、代走で65回出て19点。広島の代走の得点38点のちょうど半分を、1人で稼いでいます。辰見選手が「走って稼ぐ」広島に対して、ソフトバンクは川村選手・庄子選手・野村選手・緒方選手と、何人もの代走が「還ってくる」形でした。
代走というと、盗塁で揺さぶる姿を思い浮かべがちです。でもソフトバンクの代走は、塁を盗むことより、後ろの打者の一打でホームまで還ってくる役回りでした。どの場面で、誰を、誰と代えるか。小久保監督のその見極めが、シーズンを通して点につながり、日本シリーズでも勝負どころで光ったのだと思います。
3連覇を決めた9月には、被先制からの逆転や守備・盗塁の数字から、ソフトバンクの強さを見ました(祝3連覇-まごのてデータ的に見るソフトバンクの強さ)。日本一の今回は、ベンチから出てくる選手たちの話になり、いろんなところで語られている「選手層の厚さ」や、各々の役割やプレーの細部が徹底されている「常勝軍団らしさ」が浮き彫りになった気がします。
シーズンは終わりましたが、このブログでは「まごのてアワーズ」や4コマ漫画「猫記者ブンタの日常」など、その時期に合わせた記事をこれからもお届けしていきます。オフの間も、どうぞよろしくお願いします。
※数字は2026年のレギュラーシーズン(交流戦を含む)と日本シリーズ全4試合のもの。代走は、その試合の守備位置の記録が「走」から始まる出場(「走」「走右」など)で数えています。